「第一線で通用する舞台を、那須から…」
鈴木史朗/劇団A.C.O.A.主宰・演出家


 5年前から那須のアトリエで創作活動を行っている劇団A.C.O.A(アコア)。今年3月、那須野が原を舞台に繰り広げた『なぱふぇす2005』をきっかけに、この夏、『那須発』の演劇を各地に向けて発信します。
 『A.C.O.A.』を率いる演出家の鈴木史朗さんに、お話を伺いました。


 「8/28に富山県で、地元では9/3・4に那須野が原ハーモニーホールで公演を行います。『セチュアンの善人』というブレヒトの戯曲なんですが、ドイツの戯曲をジョ・クッという韓国の若い演出家が創ります。今回、僕はプロデューサーとして演出家の発想と僕の発想とを組み合わせて創りたいと思っています。
 ヒトラーと同時代に生きたドイツの劇作家のことばを今の僕達がスッと受け入れられるかというと、やっぱりちょっと難しい。でもね、重要なものや普遍的に変わらない部分は共通してると思うから、そこをピックアップしていきたい。それには、いろんな想像力や皮膚感覚を持つ者が乱立してる状態を作りたかった。まず、議論出来るような場所を作ろうと。ウチのメンバーに、舞踏家や新劇の人間も入れて、多種多様な創造性をこの那須に集めた。その結果、めったにないスリリングな状況が出来上がって。那須で5年やってきて、こういうことも出来るようになったのかなって」

 「那須の住民である僕にとって大切なことは、那須で第一線で通用する舞台を創るということ。今までみたいに東京で出来たものを持って来るんじゃなく、那須に舞台芸術家を招いて作品を創作したり、その創り出したものを富山県であるとか、国外にももって行きたい。この那須野が原で質の高い舞台作品が創作できるということが、すごく重要なんです。
 なぜ那須なのかってよく聞かれるんだけど、正直なところ、もともと那須にこだわってなかった。東京で演劇作品を創ることに限界を感じて、どこか充分な時間と場所を探してた。そんな時、たまたまこの建物が那須にあって。だから、最初はここでリハーサルして東京で公演することしか考えてなかった。
 ところが、ここで集団で稽古してたら、この土地の人たちに、何か変な感じを与えたらしくて。いい年の若いのが得体の知れないことをしてると。何をやっているのか教えろって言われて。説明すればするほど解らないらしく、それなら見せようということになって。ただ自分達が稽古するだけだった場所を少しきれいにしたら、いろんな人が見に来るようになった。

で、その都度起きたことを考えていったんですね。人が来て難しいなと言ったら、それについて考える。その人が必要と思っているものは何か、そして、僕が必要と思うものは何か。やっと最近、那須ってこんなところなんだってわかって来た気がします。
 自由に人が集まって、感受性が発揮できる場所なんじゃないかと」


 『セチュアンの善人』公演の詳細は、6ページをご覧ください。

A.C.O.Aホームページ
http://www.acoa.jp


※このインタビュー記事は、2005年8月5日発行の「那須野をむすぶコミュニケーションペーパーひなた」に掲載されたものです。

※劇団A.C.O.Aによる「セチュアンの善人」公演は、2005年9月に那須野が原ハーモニーホールで行われました。
 


Copyright, Hinata 2004/SA-I Co., All rights  received.